特定非営利活動法人
智頭町 森のようちえん まるたんぼう
設立趣旨書

本法人は、子育て中の母親と父親たちが、こどもの育ちに本当に大切なものは何か?智頭ならではのここでしか出来ない子育てとは何か?を考え立ち上げました。

子育て中気がつくとつい多用してしまう『危ない』『汚い』『ダメ』『早く』という言葉。本当にこどものため?実はおとなのためでは?そんな気付きからこの活動は始まっています。

少子化の弊害でおとなの目が届きすぎ、安全管理の名の下に‘こどもの世界’を狭めてしまっていないでしょうか。経済重視の情報化社会でおとなも知らず知らずのうちに‘おとなの価値観’をこどもたちに押し付けていないでしょうか。また、時間に追われる親たちも地域の中で多様な価値観にふれる機会も少なくなり、‘親力’を育てる場も減ってきています。このような色々な理由で、こどもが本来持つたくましい‘育つ力’を信じた、昔のようなのびのびとした子育てがしにくい環境になってきています。これはおとなにとっても、そして何よりこどもにとっても不幸なことです。

以前なら当たり前だった、子どもが自由にやりたいこと・行きたい場所を決め過ごさせてあげたい。なるべくおとなの干渉のない‘こどもの時間’を大切にしてあげたい。幼児期にしかできないような、五感を使った豊かな自然体験をさせてあげたい。そのためにも智頭に残る豊かな自然を存分に使ったここでしかできない‘森のようちえん’が欲しい!これが設立の動機です。

また、少し前ほど‘都会’は魅力的ではなくなってきました。‘子育て’を考えると、水や空気や景色がきれいで、食も安心安全、人も温かくコミュニティーもしっかりしている‘田舎’ほど良い子育て環境はないのではないでしょうか?また‘田舎’に残る日本の風情は国際化社会の中で生きるこどもたちに‘日本人らしさ’のベースを育みます。

智頭町にぴったりの‘森のようちえん’は、智頭での子育てを町外の若い世代にアピールできる素敵なツールになりえないか?とも考えました。

更に、この美しい町で育ったことを誇りに思って欲しい。豊かな森の川で生まれ育った魚が、海に向かい大きくなり、また故郷の川に遡ってくるように。智頭で育ったこどもが将来(子育ての場として)またこの智頭町を選択してくれるように。そのためにも森と深い関わりを持ってきたこの町に集積するヒト・モノ・チエを存分に取り入れた活動にしたいと思いました。ここは、子供たちに‘やまが’の知恵・楽しさを伝承する場です。

このような思いを持って平成19年4月より活動の準備を始め、平成21年度智頭町や鳥取県など行政からの支援も受けて『智頭町森のようちえんまるたんぼう』が開園しました。開園してみるとこのように行政からの支援を受ける‘森のようちえん’が大変珍しいことに気がつきました。また森のようちえんでの感動的なこどもの育ちを知るにつれ ‘森のようちえん’のような活動こそ、行政など様々なところとつながって、活動をしっかりと継続していかなくてはならないのではないかと強く思うようになりました。幸いここ智頭町および鳥取県は私たちの活動を応援してくださる数少ない自治体です。このような自治体が全国に増えるよう、これからも意識的に行政ともつながりながら活動を行っていきたいと思います。そのためにも、ここに組織的な運営基盤をつくり、活動を継続していくために、特定非営利活動法人智頭町森のようちえんまるたんぼうを設立します。

私たちは、森の中で遊ぶ子どもたちを見守り育てていくために、以下の基本方針の下活動します。

1 自然の中でのびのびと・・・智頭町の美しい自然環境が学び舎です。昔のこどもなら普通にやっていた野外遊び(山・川遊び)や体を使った遊びを重視します。自然そのものが遊び道具です。季節の変化や景色も楽しみます。智頭町ならではの体験も積極的に取り入れます。

2 その子のペースでゆっくりと・・・一人ひとりの育ちのペースを尊重します。また、こどもの自主性を大切にします。決められたプログラムをこなすのではなく、自然の中でこどもの興味や関心を大事にした活動を行います。「育ちを信じて待つ」ということを大切にします。

3 楽しく仲良く逞しく・・・人とのかかわりを大切にします。地元のお年よりなどから生きる知恵を継承していきます。

なお、この法人は営利を目的とせず、保護者、こども、スタッフが一体となり共に育っていく場です。

平成22年12月23日
特定非営利活動法人智頭町森のようちえんまるたんぼう
住所 八頭郡智頭町大屋407
設立代表者  西村 佐栄子